2018-2019年越し最長大回り乗車 Part1

2018-2019年越し最長大回り乗車 Part1

いきなりですが私は苦行のプロのはずです。
台風接近の最中にフェリーで2泊しました。空港に前乗りして待合所で夜を明かし、そのまま夜行バスを4夜連続で利用したこともあります。
そして挑戦したのは首都近郊区間最長大回り乗車です。JRの特例を利用して、大晦日とお正月にだけ許される経路です。
経路は以下の通り。裁定など詳しいことは詳しい方が説明なさっています。

  • 北小金[常磐線]友部[水戸線]小山[両毛線]高崎[高崎線]大宮[川越線]高麗川[八高線]八王子[横浜線]橋本[相模線]茅ヶ崎[東海道線]大船[京浜東北線・根岸線]鶴見[鶴見線]浜川崎[南武線支線]尻手[南武線]川崎[東海道線]品川[横須賀線]武蔵小杉[南武線]立川[中央線]西国分寺[武蔵野線]武蔵浦和[埼京線]赤羽[京浜東北線]南浦和[武蔵野線]西船橋[総武本線]佐倉[成田線]松岸[総武本線]成東[東金線]大網[外房線]安房鴨川[内房線]蘇我[京葉線]東京[総武快速線]錦糸町[総武緩行線]秋葉原[京浜東北線]神田[中央線]新宿[山手線]日暮里[常磐線]馬橋

移動距離にして1035.4km。相手にとって不足ないです。18きっぷでも1000km超えの旅路はなかなかありません。
運賃140円を実移動距離で割れば0.13521円/kmという破格値です。

1日目

0610北小金-0729友部

北小金駅
最寄りを始発で出て、スタート地点の北小金駅にたどり着きました。日の出前で駅員さんも見当たりません。
この時点で4時間半の睡眠時間です。普段なら私はかなり寝付きが良いのですが、起きなければならないプレッシャーからか半覚醒状態のままでした。
きっぷは既に購入してあります。自動改札機は難なく33時間も付き合うきっぷにパンチしました。ここから誰がなんと言おうと33時間ずっと改札を出ない訳です。
急遽決めてしまって年末年始という時期も相まって現金の持ち合わせはほぼなく、緊急時に対応は全くできません。飲用水プロテイン、そして経腸栄養剤はあるので脱水と餓死だけは防ぐ腹づもりです。
6時10分に最初に乗る電車が来ました。乗ってしまえばもう戻れません。文字通りです。大回り乗車では引き返せないのです。電車ではなく香車です。
とはいえ何とかなるだろうという楽観的に構えていました。序盤から陰惨たる気分になりようもありません。
電車内で2018年最後の日の出を目の当たりにしました。空の色合いはいやにキレイに見えました。

0752友部-0906小山

友部駅
早いもので、友部駅到着時点で同業者が把握できてきました。高崎で云々の話や、きっと鉄道マニアの方、なんだか眠そうな人など。
敵か味方か。しかし単独行動者がいるというのは支えにもなります。訳が分からなくなったら後をついて行けばなんとかなるような。
ここで笠間駅を通りました。笠間といえば、大きい稲荷神社がありますね。なかなかきれいな場所だと思います。そば稲荷なんてのもあります。オススメです。降りられない身分が恨めしいです。
そのうち大和駅で凍った湖面を見つけました。北上しているだけあって、やっぱり気温は下がっています。
防寒対策はしっかりしたつもりです。普段は薄着をする主義ですが、珍しくダウンなんて引っ張り出しました。
ハクキンカイロも装備しています。その燃料であるベンジンまで持ち込んでいます。再利用可能で、使い捨てカイロの比じゃない発熱が頼りです。
可燃性液体の持ち込み可否が気になるところですが、JRの規則では2リットル以下ないし2kg以下ならば例外として認められるようです。助かりました。
水戸線はつつがなく小山駅まで運んでくれました。ただ、ここで乗り換えに失敗しそうになるヒヤリハットが起きました。先が思いやられます。

0927小山-1120高崎

小山駅の売店でワセリンを買いました。家に忘れたものを現地調達するのって、かなり間抜けな気分になります。しかし必要でした。
ワセリンは冬の旅においては必須だと思います。乾燥と暖房が相まって、干物になってしまうような勢いです。
乾燥のせいで指の甘皮全部に逆むけができたり、何か食べようと口を開けた瞬間に裂けたり。死にはしないでしょうが悲惨なものです。
ちなみに夏場ならベビーパウダーが必携です。足の指間にはもちろん、尻から内股にはたいておけば股擦れの予防になります。これがないと出先で温泉に入ることもままなりません。日本では希有ですが炭酸泉など攻撃的な温泉成分の場合は特に。
両毛線で栃木駅を通った辺りから雪冠を被った山々が見えて、いよいよといった具合です。私は天気予報を見ていなかったので、この先に雪なら悲惨な目に遭うだけです。
そういえば18きっぷ初心者の頃に、路線を間違えて駅に待合室もなく雪に打たれる中で待たされたこともありました。
しかし前橋も高崎も雪が降っているような様子はありませんでした。拍子抜けですね。

1123高崎-1242大宮

高崎で1本電車を見送って、ちょっと充電も兼ねて休もうかと思いました。しかし乗り換え時間3分という響きに血が疼きました。
乗り換え時間3分は余裕です。1分の乗り換えだってあるんですから、それに比べたら2回くらいミスできる余裕があります。
そしてコンコースで2回くらい方向を間違える羽目になりました。乗り換え案内のアナウンスを聞かない私が悪いのです。
さて、上野東京ラインにはグリーン車があります。ちょっとした追加料金で、ちょっといい席を取得できるかもしれないという話です。
一瞬迷いました。乗り換え時間が迫っているのに。
迷った挙げ句にグリーン券をはいませんでした。これはそういう旅ではないのです。私は0.1円でも安く移動すべきなのです。
この辺りから同業者を見かけなくなってしまいました。正しくは分からなくなりました。どうせ挑戦者が夜を明かす場所は決まっているので、改札内のカフェや年越しそばを召し上がる方も多いのだと思います。

1257大宮-1351高麗川

大宮駅で降りたのは初めてだと思います。こうも大きい駅だとは思いませんでした。上野東京ラインから川越線に乗り換えるのに、思ったより歩かされました。
さて歩かされたこともあってか、この辺りからお腹がグーグーと鳴いてきました。私は燃費が悪いので。
大宮駅には色々な売店があります。ちょうど昼食時ですし、食べるならベストなタイミングです。
しかし私にはその選択肢を選べませんでした。考え、または覚悟がありました。
それは年越しそばです。空腹を高めてから初めての固形物として年越しそばを迎えたかったのです。
空腹は最高のスパイスといいます。
行列に並んでやっとありつけた料理がいやに美味しく感じられるのはきっとそのせいです。流行が去って行ってみれば美味しく思いません。
若干の低血糖ならなおさらです。分泌されたアドレナリンが野生を思い出させ、ただ腹が満たされるだけで歓びを覚えます。ジェットコースターです。
ただ血糖値のジェットコースターは糖尿病の危険がありますね。私も血糖値が乱高下する自覚があるので糖尿病予備軍なのかも。
ここで八王子と橋本の間で遅延が発生していると知りました。私にはどうにもならず、強行するだけです。
高麗川駅

1400高麗川-1616茅ヶ崎

高麗川で長く停車したので外に出てみれば、妙に覚えがあるドルドル音が聞こえてきました。
単に向かいに停車していた列車の音です。ディーゼル車なので、いわゆる電車じゃありません。
ディーゼル車
高崎から直に高麗川を目指したなら、東京近郊にも関わらずディーゼル車に揺られる経験ができたことでしょう。
八王子の辺りでやっと気がつきましたが、ダウンが完全にお荷物です。
私は代謝がいいのか体脂肪率が高いのか暑がりで、車内の暖房を苦痛に感じてしまいます。カバンに入れるにも、嵩高いので扱いに困りました。
ハクキンカイロも私には不要でした。家から出る時くらいしかありがたみを感じられません。
あとこの辺りから便意が徐々に強まって参りました。朝が早かったので、出すべきものを出せている訳ではないのです。食べていないからまだ余裕はあるのですが。

1619茅ヶ崎-1833川崎

茅ヶ崎
ここがおそらく最難関地点だと思います。一本で行けるのに、とにかく乗り換えて、ただひたすらに距離を稼ぐだけです。
個人的に茅ヶ崎から川崎に行くなら東海道本線をオススメします。
どうしてこうも入り組んでいるのか、私には理由が分かりませんが大回り乗車には好都合ではあります。
さて難関部を前に炭水化物を補給しようと、いよいよ年越しそばを大船駅で食べることにしました。ぶっちゃけ妥協でした。
から揚げとそば、そしておいなりさん。おいなりさんが出来合いで残念でした。
年越しそば
はっきり言うとうどんの方が好きですし、縁起でいえばうどんの方が切れにくいのでいい気がします。
ところが年越しそばは切れやすいからこそ、厄払いの意味があって縁起がよいそうで。ものは見方と言いますが身勝手ですね。
しかし何とか年越しそばにありつけました。ごちそうさまでした。
年越しそば
しかしお陰様で計画に狂いが生じました。その結果が鶴見駅での28分待機です。慌てて電車に乗ったものの、1本後の大船発と川崎着が変わりません。
そういえば大回り乗車だと鶴見駅が鬼門と聞きます。有人改札の通過が必須で、経路を聞かれる場合もあるそうで。
見解一致させておけよとは思いますが、私は運良く顔パスです。経路を自力で説明できないので助かりました。
こうして有名な浜川崎に着きました。ここで乗り換えのためとはいえ改札外に出てしまいます。
浜川崎商店
大回り乗車は改札から出られないというに、仮釈放みたいな気分です。シャバの香りです。
浜川崎駅
鶴見線、キセルし放題な気がしますけど大丈夫なんでしょうか。ローカル線みたいに列車の出口が改札という訳でもなさそうですし。まあ、あんな工業地帯で出たとして何になるのか分からないですが。
いやゲーセンが浜川崎の近くにありましたね。そういうことはやめましょう。

1839川崎-2014西国分寺

浜川崎駅
さて、やっとの思いで見覚えがある地帯に戻ってきました。しかし、ここでも大きく回って目的地に向かっていきます。川崎からいったん品川へ行き、路線を変えて武蔵小杉に向かいます。
それにしても武蔵小杉の乗り換えのなんて不便なこと。駅で動く歩道なんて東京駅での京葉線乗り換え以来です。
この辺りから迫る暗雲に気がつき始めました。京浜東北線で人身事故が発生していました。
18きっぷと同じく大回り乗車に振り替え輸送は適用されない気がしました。どんなルールになっているのか、鉄道に詳しくない私には理解できません。
運休区間は既に突破できていたので無事でしたが、まだ京浜東北線を使う予定がありました。

2025西国分寺-2214西船橋

遅延を聞いて急ぎ、予定外に20時25分発西国分寺に乗って20時51分に武蔵浦和へ到着しました。
時刻表を見てみれば、武蔵浦和20時52分発の埼京線快速があります。
乗り換え1分。武蔵浦和駅は初見で構造が分かっていません。
どうなるかと思えば、見事に番線を間違えました。乗り換え時間1分だと1回のミスで即終了です。サヨナラ。
こんな時の怒りの矛先は定めにくいもので、なんの罪もない鉄道会社に向けてしまいます。これではいけませんね。でも悔しいのです。フルコン狙ってて1切りしちゃう悔しさです。
仕方がないので次の20時54分発に乗りました。21時08分に赤羽に着くまでずっと悪態を垂れて悔しいままです。
遅延が発生しているので、もしかするともしかします。ここまで来てのリタイアがよぎります。金もないので心配性です。
ところがどっこい、大宮行きが実質定刻通りにやってきました。何事もなく、武蔵野線1本で行けるのに埼京線と京浜東北線で大回り乗車できました。
南浦和駅
南浦和から西船橋までは実に穏やかでした。
スタートの北小金駅とゴールの馬橋駅の間にある新松戸駅を通過したり、車窓が真っ暗で何も見えなかったり、車内アナウンスが妙にノイジーで耳障りだったりするくらいです。
この辺りでイヤに腹が立ってきました。埼京線の番線を間違えたにしろ問題なくたどり着けるのにです。当初の予定より早めで、車両内ではなく成田駅で新年を迎えることができるのにです。
ムカつきます。世間は大晦日です。こんなときのテレビの特番はつまらなくても見るものです。Twitterだって和やかなお祭りムードです。
王子狐の行列というイベントの存在を思い出したこともイラつきに拍車をかけます。
なぜ思いついたのが王子狐の行列じゃなくて年越し最長大回り乗車だったんでしょう。狐が好きなので行けないことが恨めしいです。
なんでただ電車に揺られ続けないといけないのか。線路はまだ続きます。
ここらでもしもの乗り越し計算したら帰宅できないくらい残金がありませんでした。帰りたくとも帰れません。

2221西船橋-2325成田

西船橋駅
アクシデントはありましたが、結果オーライです。年越しそばの摂取タイミングも絶妙でした。赤羽で食べていたら遅延に巻き込まれたでしょうし、千葉到着時点ではもう閉店していました。
ここまで来たら後は勝ち確みたいなものです。千葉と成田間に関しては終夜運転しています。
終夜運転の仕様書によれば、成田から先の都合のいい終夜運転は見当たりませんでした。成田駅で打ち止めです。
つまり今日の宿は成田駅の改札内です。

Pt2へ続く

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