血液クレンジングと血液浄化の違い

血液クレンジングと血液浄化の違い

はじめに

言葉の定義

血液クレンジング = 日本酸化療法医学会が提唱するオゾン療法を指します。
アフェレシス = 「体外循環によって血液中から血漿成分、細胞成分を分離する、さらには分離した血漿成分から病気の原因となる液性因子を分離すること」を指します。
血液透析 = 体外循環で透析液を用いて老廃物と余分な水分の除去と電解質とpHの補正をすることを指します。
血液浄化 = 血液透析またはアフェレシスなどで、血液中から物質を除去することを指します。

利益相反

血液クレンジングに賛成する側にも反対する側にも利益相反はありません。

本論

血液クレンジングのあらまし

歴史には疎いですが6年前から存在していて、1年おきに話題になっては立ち消えて2019年に本気で点火されたようです。
血液クレンジングとは血液を体外に出して、なんか……恐らく血液凝固を阻害するためにクエン酸などを混ぜて、オゾンを吹き込んで、また体に戻す行為を指すようです。
詳しいことは日本酸化療法医学会のページをご覧ください。これ以上の説明も嫌です。

血液クレンジングで何が起きるのか

血液がオゾンで破壊されるだけです。ただ1つ覚えて頂きたいのは血液クレンジングでは血液中から何も除去されていないことです。

血液浄化について

分類とか派閥で色々だったり言い回しが違ったりしていて、統一的にこれと指し示すことは難しいです。血液浄化を上位カテゴリにしたり下位カテゴリにしたり。私なりにまとめる他ありません。いかがと問いたくもなります。
これはいくらか解釈した分類なので場所や時間によって別の枠組みがあります。枝葉を理解したら、あとは枝を自在に動かすだけで対応できるでしょうけど。可能な限り一般的で、誰でも理解しやすいように心がけます。

血液浄化

まず血液浄化療法は血液中から有害な成分を取り除く療法全般を指します。血液透析とアフェレシスは原理の違いだけでどれも血液浄化と呼べます。
血液浄化は定期で維持的に行われるものと、即応的に行われるものに大別されます。
なお腹膜透析は体外循環させない透析なので今回は取り上げません。割合も高くないので。

血液透析

さて、血液透析は血液浄化の元祖です。腎不全患者に対して、腎臓のろ過機能と平衡維持機能を代行する目的から始まりました。
血液透析の大まかな流れは、患者に造設されたシャントから血液を抜き、おおむねヘパリンNaという凝固防止剤を混ぜ、半透膜越しに透析液と接触させて有害な物質を抜きつつ電解質の補正を行います。
このときに物質が移動するのは濃度の差による拡散です。
水は血液側と透析液側で圧力差を作って無理に半透膜を通して抜きます。このとき限外ろ過が起きています。
つまり透析の原理は拡散と限外ろ過の2つです。ここは重要です。血液の流れの最中にろ過材はなく単に半透膜の中を流れているだけです。
血液透析の仲間で血液ろ過もありますが、これは圧力差を大きくしてもっと限外ろ過をするようにしただけです。取り除かれ具合が変わります。

アフェレシス

次いでアフェレシスは血液透析と血の流れが似ていますが違います。原理に注目してください。
例を列挙します。血液を遠心分離して分離するのはアフェレシスです。血液を膜に通して分離するのもアフェレシスです。血液全て、または膜を通して分離した後の液体を吸着材を充てんした管に通して特定の物質を吸着させるのもアフェレシスです。
つまり遠心分離と膜分離、そして吸着の3つがアフェレシスの原理です。透析以外の原理を使う分離法はアフェレシスの扱いになります。
吸着でも原理が分かれますが疎水的相互作用、静電的相互作用、抗原抗体反応、イオン結合などと分けたらもう何も分からなくなるので割愛します。
さて、アフェレシスは血液透析より血液中から特異的かつ強力に物質を分離します。血漿成分だけ、白血球だけ、自己抗体だけ、炎症を起こす成分だけなど。
分けたら理論的に正しく廃棄したり交換したらいいんです。これがアフェレシス療法になります。
ちなみに成分献血もアフェレシスです。フィルターで白血球を除去したり遠心分離で血漿と血小板を分離しています。

血液透析とアフェレシス

血液透析の代わりにアフェレシスではダメなのかと言えば、そんなことはないと思います。
ただしアフェレシスにはかなり費用がかかるので、週に3回だとか維持透析の頻度で受けるとなるとかなりの金額になります。だから誰もアフェレシスで透析を代替しません。

この辺りは臨床工学技士さんが詳しいです。日本アフェレシス学会認定技士さんや血液浄化専門臨床工学技士さんならもっと詳しいはずです。よろしくお願いします。

結局のところ

血液浄化は血液中から物質を除去していて、血液クレンジングは血液にオゾンを付加しています
この2つは似た単語ですが全く違う概念です。

血液浄化のそもそもは血液透析で、その他の血液浄化も特定の疾患に対して特定の方法で効果が認められています。
効果が認められているというのは保険適用という意味です。価格に見合う効果があると言えます。

でも血液クレンジングは保険適用外です。何故か考えてみてください。

付随する検索汚染

血液浄化と似た単語の「血液洗浄」だと血液クレンジングが検索1ページで多く引っかかります。
浄化より洗浄の方が一般的な単語だと思うので「血液洗浄」で検索する方が多いでしょう。
Googleの検索件数も「血液浄化」より「血液洗浄」が多いです。

ステロイドで十分にコントロールできないような重い自己免疫疾患に苦しむ患者さんにアフェレシスは希望になるはずです。
効く割合は決して高くないでしょうが、少なくともただ血液を破壊するだけの血液クレンジングよりはずっと頼りになるはずです。
それなのに全く関係のない血液クレンジングばかり引っかかっては機会損失です。間接的ですが見知らぬ誰かを殺しかねません。

更に日本酸化療法医学会は「オゾンフェレーシス」という単語を使っています。
予想ですけど、アフェレシスの表記揺れのアフェレーシスにあやかっているのでしょう。絶対にあやかってはいけない領域ですけど。
そもそもアフェレシスとはギリシャ語の「分離」を意味する言葉で、かつては血漿分離を指してプラスマフェレシスという合成語が一般的でした。
見た限り血液クレンジングではオゾンを血液に付加しているにも関わらず「オゾンフェレーシス」という言葉はオゾン分離という意味になります。
何も考えていないんですか? 確かにアフェレシスはカッコいい響きですが。

血液クレンジングの効果

血液クレンジングが効果を発揮するのは100回に5回もないでしょうけど調べてみます。
境界科学な感じで、もしかしたら本当に有意な差があるかもしれません。
観測できないことは取り扱えないんですけど。

追記、持ち越し、または別の誰かの解説になります。

結論

私に血液クレンジングを受けたい誰かを止める権利はありません。
あなたがあなたの意志で受けたいなら勝手に受けてください。
私は赤の他人のあなたに対して責任は一切ありません。

しかし医療従事者でもないのに第三者に勧める行いには反対します。医療従事者以外が第三者の人生を一片でも背負うことはオススメできません。私にも覚悟しきれないところです。
同じく検索エンジンを占領して適切な情報にたどり着くことを妨害する行為にも反対します。前述の通り適切な情報が必要な人に届かなくなるからです。多くの人間は検索ページの1ページ以降を見ようとしません。

もしもあなたが医療従事者で第三者に血液クレンジングを勧めるなら、どうか自分の胸に手を数秒くらい当てた後でマシな労働環境の仕事を探してください。

参考文献

日本酸化療法医学会
一般社団法人日本アフェレシス学会
血液浄化の種類 | 医療法人錦秀会 阪和記念病院
血液解析・血液浄化法

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